しかし、すでにVIPは腐ってました。 運営はその姿を見て、VIP天国というチーズを置きました。 VIP天国というチーズに集まったネズミはいいました。 「ケンカはしない、同じところをかじり続けない、そして、このチーズを宣伝しない事。」 それは、VIPというチーズをただただ消耗させてしまった一部のネズミ達の思いでした。 そこでネズミ達は気がつきました、消耗品であるがゆえのジレンマに。 板は盛られたチーズであり、腹をすかせたネズミは量の多いところで空腹を満たします。 食べ尽くし、空腹が満たされたあとの、欲求は人間のソレと一緒です。 その欲求に従うネズミと、理性を持って、良質のチーズを探しているネズミとでケンカが始まりました。 悲しくても、つらくても、空腹を満たしてくれたこの場所に次のネズミの為にチーズを作るのが かつて空腹を満たされたネズミの役割でもありますが、その思いは通じ合えません。 バカげていたけど、楽しかった。腐るチーズの上で存在する、その気持ちは 生きたまま、そこに置かれたネズミ達の漠然とした不安。 そして、ネズミ算のように、数だけが増えていく、ネズミの数。 良質なチーズがないから不安なのでなく、 増えていくネズミに食わせるものがない不安。 乳の出ない母のような思いで、空腹を満たしたネズミの大半は 後から来るものに、新しいチーズを与える事できずにこの場を去っていくのでした。 誰かが言いました。 VIPはどこにいった? 誰かが答えました。 腹をすかせた大量の子ネズミと、お盛んな夫婦、グレた長男。あの家がVIPだよ。行ってみる? 物好きだね。